ぼくのエゴ

 頭で考えるよりも行動に移すのだ。ぼくの大切な人を守るために。いや、守るなんていう言葉は当てはまらないのかもしれない。だって、ぼくがいけないのだから。きっと、これはぼくのエゴ。

 いつもの赤い電車に乗っていた。それに気付いたのはちょうど、「飴色の部屋」が流れ始めたころだった。ぼくがひとりぼっちにする。ぼくはひとりぼっちで行く。詞とともにぼくは妄想した。電車は終着駅を目指している、ぼくもそこへ行こう。

 車内は案外空いていた。いつも変に人が多い。でも、空いている座席はない。腕を組んだり、携帯電話に夢中になったり、眠ったり、座っている恋人相手に話したり、通り過ぎる景色を眺めたりしながら立っている人たちが居る。とても退屈そうだ。

 目を最大限につかって、車内を見渡すくたびれがかったサラリーマンがいる。その姿は、怯えているようにも、ただ観察しているだけのようにも見えた。そんなきょろきょろサラリーマンも終着駅へむかっている。

 もうすぐぼくは終着駅をむかえる。そして、また次の終着駅へむかう。目的地に着いたなら、何が待っているのか。そして、ぼくに何ができるのか。